3倍リターンの甘い誘惑と破滅への道
どうも、諸君。ワニワニだ。今日は投資界隈で最も熱いトピック、レバレッジETFについて語ろう。SPXL、SOXL、TECL…その名前は、まるで一瞬で富を築く魔法の呪文のように、ネットの掲示板で囁かれている。その約束はあまりにも魅力的だ。市場が上がれば、3倍の利益が手に入る!こんな話を嫌う奴はいないだろう。だが、俺は今日、あえてこの厳しい問いを投げかけたい。これは億万長者への近道なのか、それとも地獄への片道切符なのか?多くの人が「長期保有はアリなのか?」と尋ねる。今日、俺がその最終的かつ決定的な答えを教えてやろう。曖昧な表現も、逃げ口上もなしだ。ただ、冷徹で厳しい真実だけを語る。さあ、始めよう。
99%の投資家にとって、答えは断固として「ナシ」だ
単刀直入に言おう。諸君のうち99%、つまり本物の、永続的な富を築こうとしている大多数の個人投資家にとって、3倍レバレッジETFの長期バイ・アンド・ホールド戦略は、議論の余地なく「ナシ」だ。これは根本的に破綻した戦略なんだ。脅しを言っているわけじゃない。これらの商品のまさにDNAそのものが、長期的に見れば諸君に不利に働くように設計されているからだ 。
「じゃあ、残りの1%はどうなんだ?それが機能するシナリオはあるのか?」と思うかもしれない。ああ、ある。ごく一部の投資家にとっては理論上、可能性がある。だが、その条件はあまりにも厳しく、リスクは極端に高く、そして要求される幸運は計り知れない。だから、実質的には検討に値しない道だ。その神話的な1%の投資家が誰なのかは後で触れるが、今はまず、デフォルトの答えが圧倒的に「ノー」であることを理解してほしい。
根本的な問題は、投資家が短期売買のために設計されたツールを、本来意図されていない目的、つまり長期的な資産形成のために使おうとしている点にある 。これはまるで、毎日の食料品の買い出しにF1マシンを使うようなものだ。スリリングかもしれないが、とんでもなく非実用的で、クラッシュして終わる可能性が極めて高い。金融当局自身も、これらの商品が長期投資には適していないと警告している 。
レバレッジETFが抱える「3つの大罪」
ここからは、なぜ結論が「ナシ」なのか、その理由を徹底的に解説していく。
「減価」という悪魔 ― 静かにポートフォリオを蝕む殺人鬼
これが最も重要で、そして最も誤解されている概念だ。「減価(げんか)」または「逓減(ていげん)」と呼ばれる。これはバグじゃない。これらのETFが機能するための「仕様」であり、ほとんどの市場環境で諸君の資産を静かに出血させる仕様なんだ。
そのメカニズムは、これらのETFが3倍のレバレッジ目標を維持するために「毎日」リバランスされることにある 。この日々のリセットこそが、減価の源泉だ。
具体的な数値で見てみよう。ある指数が100、君が持つ2倍レバレッジETFも100だとしよう。1日目、指数が10%下落して90になる。君のETFは20%下落して80になる。さて、2日目。指数が元の100に戻るには約11.1%の上昇が必要だ。すると君の2倍ETFは、その「新しく、より低くなった価値」に対して22.2%上昇する。つまり、80の22.2%は17.78だ。君のETFは97.78で終わる。指数は元に戻ったのに、君は2.22%の資産を失った。これが減価だ 。この現象が、3倍のレバレッジで、変動の激しい市場で何ヶ月も、何年も繰り返されることを想像してみてほしい。それは破滅への確実な道だ。
この減価は、市場のボラティリティ(変動性)によって加速される 。市場が上下に揺れ動くほど(いわゆる「レンジ相場」や「ボックス相場」)、この減価は君の資本を食い尽くしていく 。そして、SOXLやTECLが連動する対象は何だ?半導体とテクノロジーだ。これらは市場全体の中でも最も変動の激しいセクターの一部だ 。この事実が、これらのETFをSPXLのような市場全体を対象とするものよりも、さらに減価しやすくしている。
つまり、投資家をレバレッジETFに惹きつける高成長ポテンシャルを持つセクター(テクノロジーや半導体)は、同時に最もボラティリティが高いという性質を持つ。この高いボラティリティが、減価という強力で避けられない逆風を生み出す。投資家は知らず知らずのうちに、単に指数をレバレッジしているだけでなく、減価という要素そのものもレバレッジしてしまっているのだ。これにより、セクター特化型のレバレッジETFの長期保有は、市場全体を対象とするものよりも、さらに数学的に欠陥のある提案となる。
「コスト」という毒 ― リターンを確実に蝕む重荷
減価が静かなる悪魔なら、高いコストはゆっくりと効く毒だ。はっきり言おう。VOOやIVVのような標準的で高品質なS&P 500 ETFの経費率は約0.03%だ 。これは無いに等しい。では、レバレッジETFを見てみよう。SPXLの経費率は約0.87%から0.95% 。SOXLやTECLも同様の範囲で、時には1%を超えることさえある 。これは、実に30倍以上も高価だということだ。
さらに悪いことに、隠れたコストが存在する。これらのETFは、レバレッジを達成するために先物契約のようなデリバティブを利用する 。これらの契約は常に売買を繰り返す必要があり、これを「ロールオーバー」と呼ぶ。この過程で取引コストが発生し、特定の市場状況下ではさらなる価値の侵食につながる可能性がある 。これらは表面には見えないコストだが、劣悪なパフォーマンスの中に確実に組み込まれている。
この高い経費率は、単なる年間の控除ではない。それは時間とともに「負の方向」に複利で効いていき、ETFのパフォーマンスと投資家が期待するであろうパフォーマンスとの間に、保証された、そして絶えず広がり続けるギャップを生み出す。これは君の投資に対する永久的な下向きの重力として作用する。減価という市場のボラティリティとの戦いに加え、保証された手数料との戦いという、二正面作戦を強いられることになるのだ。これにより、利益を出すためのハードルは信じられないほど高くなる。原指数はただ上昇するだけでは不十分で、減価と高コストの両方を克服するほど十分に上昇しなければならない。これは長く変動の激しい期間においては極めて困難な偉業だ。
「暴落」という大惨事 ― 3倍レバレッジが99%の損失につながる時
レバレッジは諸刃の剣だ。利益を増幅させるが、損失を破滅的なレベルまで増幅させる。原指数が33%下落しても、君の損失は99%では済まない。それは君が市場から退場させられることを意味する。我々の偉大な教師である歴史を見てみよう。
ケーススタディ1:コロナショック(2020年2月-3月) 2020年初頭のパニックを覚えているだろうか?S&P 500はわずか1ヶ月余りでピークから約34%下落した 。恐ろしい事態だった。だが、もし君がSPXLを保有していたら、それは世界の終わりのようだっただろう。SPXLは驚異的な77%もの暴落を記録した 。自分の生涯の貯蓄が数週間で4分の3以上も蒸発するのを想像してみてほしい。S&P 500はやがて回復したが、77%の損失から回復するには、元に戻るだけで335%の上昇が必要になる。これがレバレッジによる損失の非対称性の残酷さだ 。
ケーススタディ2:ITバブルの悪夢(2000年-2002年の仮想的大虐殺) これは、レバレッジを信じる長期投資家が夜も眠れなくなるべきシナリオだ。この時期、S&P 500は3年連続で下落した 。S&P 500や、さらに悪いことにナスダックを追跡する3倍レバレッジETFは、「大幅に下落した」だけでは済まなかっただろう。それは事実上、価値がゼロに近づき、市場が底を打つずっと前に、運用会社によって強制的に清算(「繰上償還」)された可能性が高い 。君の投資全額が消滅しただろう。これはリスクではない。長期にわたる複数年の弱気相場においては、ほぼ確実な結末だ。
ケーススタディ3:2008年世界金融危機(炎の中から誕生) SPXLの登場タイミングは詩的ですらあった。それは嵐の真っ只中、2008年11月に設定された 。S&P 500はすでに暴落していたが、2009年3月まで下落を続けた 。最悪期は過ぎ去ったと考え、設定時にSPXLを購入した者は誰であれ、さらに壊滅的な損失を被っただろう。これは、レバレッジをかけて「押し目買い」をすることが、3倍の鋭さを持つ落ちてくるナイフを掴むようなものであることを証明している。
77%といった暴落の数字だけでは全体像は捉えきれない。真のダメージは心理的なものだ。このような急激で深い損失を経験すると、人間が「長期保有」という計画に固執することは事実上不可能になる。出血を止めたいという本能がすべてを支配し、ほぼ確実に底値圏で売却し、破滅的な損失を確定させることになるだろう。したがって、「長期保有」戦略は数学的(減価、コスト)だけでなく、心理的な理由でも失敗する。この商品が生み出すボラティリティは、ほとんどすべての投資家の感情的な許容範囲を超えているのだ 。
偉大なる強気相場の蜃気楼(そして、それが罠である理由)
さて、ここまで聞いて、強気派の諸君はこう叫んでいるだろう。「ワニワニ、しかし2009年以降のリターンを見ろ!SPXLはロケットだったじゃないか!」と。彼らは間違ってはいない。2008年の危機後に続いた歴史的な強気相場において、SPXLは息をのむようなリターンを叩き出した。低ボラティリティの上昇トレンドにおける複利のプラス効果により、その期間のS&P 500のトータルリターンの単純な3倍をしばしば上回った 。
だが、ここに決定的な真実がある。そのパフォーマンスは歴史的な例外だったのだ。それは現代史において最も長く、最も持続的で、最もボラティリティの低い強気相場の一つだった 。君の全財産を、このような一世代に一度の相場の始まりを完璧にタイミングよく捉えられるという希望に賭けるのは、戦略ではない。それはギャンブルだ。
2009年3月に市場が絶対的な底にあり、その後10年間上昇し続けると知ることができただろうか?2020年3月に市場がV字回復すると知ることができただろうか?いや、誰にもそんなことは確実に予測できない 。完璧な市場タイミングを必要とする戦略は、もはや戦略とは呼べない。2009年から2019年にかけてのSPXLの壮大なリターンは蜃気楼だ。本物で魅力的に見えるが、掴もうとすれば、そこには危険な砂しかない。
2010年代の強気相場におけるレバレッジETFの成功は、ソーシャルメディアによって増幅された強力で誤解を招く物語を生み出した。この物語は、商品をその固有のリスクから切り離し、歴史的な強気相場という例外的な結果にのみ焦点を当てる。初期の採用者や幸運な投資家がオンラインで巨額の利益を共有し、生存者バイアスを生み出す。新しい投資家はこれらの成功事例を見て、異常な結果を再現可能な戦略と誤解する。これにより、目論見書 や規制当局 からの公式な警告が、過度に慎重であるか無関係であるとして無視されるエコーチェンバーが形成される。その結果、この商品は新しい世代の投資家によって完全に誤解され、彼らは過去の強気相場の記憶を餌にした罠へと導かれているのだ。
君はこのレバレッジという猛獣を飼いならせるか?
さて、最初の質問に戻ろう。SPXL、SOXL、TECLの長期保有は「アリ」か「ナシ」か?冒頭で述べた通り、99%の諸君にとっては「ナシ」だ。それは数学、コスト、そして心理学によって、君に不利に仕組まれた、負けが確定しているゲームだ。
では、これを試みるかもしれない神話的な1%の投資家とは誰か?それは単に金持ちというだけではない。以下の条件をすべて満たす者だ。
- 数学を冷徹に理解している: 減価の影響を寝ながらでも計算でき、自分が何と戦っているのかを正確に知っている。
- 鋼の精神を持っている: 自分のポジションが80%下落するのを見ても、パニック売りを避けるだけでなく、むしろ買い増すことさえできる。これは心理的に超人的だ。
- 「遊び金」を使っている: 完全に失っても構わないと覚悟している、純資産のごく一部を使っている。
- 信じられないほど幸運である: 長期にわたる低ボラティリティの強気相場の開始時点で、たまたま投資している。
もし君がこれらの項目の一つでも欠けているなら、これらの商品を長期で保有する資格はない。
俺の最後の、そして力強いアドバイスを聞いてくれ。富を築くのは短距離走ではなく、マラソンだ。これらのレバレッジETFは、金融のチェーンソーのようなものだ 。熟練した職人が非常に特殊で短期的な仕事に使うなら、効果的かもしれない。しかし、近道を求める素人の手に渡れば、悲惨な事故につながるだろう。チェーンソーを持った素人になるな。自信の無いものは無理せず証明済みの道、つまり低コストで分散されたインデックスファンドの道を進め。それを買い、保有し、本物の、持続可能な複利の力に仕事をさせろ。レバレッジを使ったギャンブルは、カジノとデイトレーダーに任せておけ。未来の君は、きっと今日の君に感謝するだろう。ワニワニでした。
それでもワシは熟練の技でレバレッジETFを使いこなしているぞ。


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