2025年7月31日 日銀会合後のドル円、今後のシナリオはこうだ!

投資

諸君、ワニワニだ。7月31日の日銀金融政策決定会合、そしてその前のFOMC、市場は固唾をのんで見守っていたな。結果は日米ともに「政策金利の据え置き」だ 。だが、この一言で思考停止してはいけない。この「据え置き」の裏にこそ、今後のドル円相場を読み解くカギが隠されている。このワニワニがその深層を解き明かし、諸君が取るべき進路をズバリと示してやろう。  

ドル円は「高止まり」が基本線。ただし、上値は重く、乱高下に要注意!

まず結論から言おう。今後のドル円相場は、基本的な方向性として「高止まり」を維持する。日米の金利差という強力なエンジンが、相場の下値をがっちりと支えるからだ。

しかし、一直線に円安が進むと考えるのは早計だ。その行く手には、日本政府・日銀による「為替介入」という名の分厚い壁がそびえ立っている。この壁が強力な上値抵抗線となり、一本調子の円安進行を阻むだろう。

結果として、相場は「じりじりと上昇しては、急落する」という展開を繰り返しやすくなる。「高値圏でのレンジ相場」と聞くと穏やかに聞こえるかもしれないが、その実態は違う。それは、強力な上昇圧力と強力な下落圧力が拮抗する「緊張状態」だ。小さなきっかけで大きな値動きが誘発される、ボラティリティの高い戦場となることを覚悟しておくべきだ。

なぜワニワニがそう考えるのか?3つの根拠を徹底解説

ワニワニがなぜこのような結論に至ったのか。その根拠は3つある。日米の金融政策、両国の物価情勢、そして相場に立ちはだかる見えざる壁だ。一つずつ、徹底的に解説しよう。

根拠1:終わらない「日米金融政策の綱引き」。金利差が円安を支える構造は不変

現在のドル円相場を支配する最大の要因は、言うまでもなく日米の圧倒的な金利差だ 。そして、今回の日米金融政策決定会合の結果は、この構造が当面変わらないことを市場に改めて示した。  

まず日本銀行。7月31日の会合で、政策金利を現行の0.5%程度で維持することを全会一致で決定した。これで4会合連続の据え置きとなり、積極的な利上げには極めて慎重な姿勢が浮き彫りになった。植田総裁は会見でタカ派的なトーンをにじませることもあるが、その一方で「持続的な物価上昇率2%には届いていない」と自ら認めており、金融緩和を継続する姿勢を崩していない 。これは、口先では引き締めを示唆しつつも、実際の行動は伴わない「タカ派のフリをしたハト派」戦略だ。  

一方の米国。FRB(米連邦準備制度理事会)も政策金利を4.25~4.50%で据え置いた 。重要なのは、パウエル議長が会見で「利下げを急がない」という姿勢を明確に示したことだ 。その背景には、根強いインフレ圧力や、関税政策が経済に与える影響を見極めたいという慎重な考えがある 。FRBは9月の次回会合までにさらに2ヶ月分のインフレ・雇用データを見極めるとしており 、市場の早期利下げ期待を完全に牽制した形だ。  

この結果、何が起きるか。答えは明白だ。低金利の円を売って高金利のドルを買うという、金利差を狙った取引の優位性は全く揺るがない。この日米金利差というドル円相場における「引力」が、強力な円安・ドル高の土台であり続けるのだ 。市場の動きは、もはや現在の日米金利差そのものではなく、植田総裁とパウエル議長の言葉の端々から読み取れる「将来の金融政策の期待値の変化」によって左右される。まさに、両中央銀行による「期待の綱引き」が相場の主戦場となっている。  

根拠2:しつこいインフレの影。日米それぞれの「物価」との戦い

なぜ日米の金融政策はこれほどまでに方向性が違うのか。その答えは、両国が直面する「インフレの質」の違いにある。

日本のインフレを見てみよう。2025年6月の全国消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.3%の上昇、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)に至っては3.4%の上昇と、依然として高い水準にある。しかし、その中身は食料品や保険料といった特定品目の価格上昇が主導しており、経済全般の力強い需要に支えられたものではない。アナリストからは、エネルギー価格などの影響が一巡すれば、秋にはコアCPIが3%を割り込むとの見方も出ている 。日銀は、このインフレを賃金上昇を伴う持続的なものではなく、外部要因による一時的な「コストプッシュ型インフレ」と捉えている。だからこそ、下手に利上げをして景気の腰を折りたくないのだ。  

対照的に、米国のインフレはより根深い。2025年6月のCPIは前年同月比2.7%と、前月の2.4%から加速した。コア指数も2.9%に上昇しており、インフレの鎮静化が一筋縄ではいかないことを示している 。特に、関税の影響が疑われるコンピュータや衣類といった財の価格が幅広く上昇している点は見過ごせない 。これは、政治的な要因が物価を押し上げていることを意味し、FRBの金融政策をより複雑にしている。  

この「インフレの質」の違いこそが、日銀が緩和を続け、FRBが引き締めを緩められない根本的な理由だ。そして、この違いが続く限り、金利差を背景とした円安圧力もまた、継続するのである。

根拠3:相場を揺さぶる「2つの壁」。政府・日銀の「介入」と米国の「政治リスク」

ドル円相場がファンダメンタルズだけで動くなら、円安はもっと進んでいるはずだ。しかし、そうはならない。なぜなら、相場の行く手には2つの巨大な壁が立ちはだかっているからだ。

第一の壁は、日本政府・日銀による「介入の壁」だ。市場参加者は、2022年9月と10月に行われた総額9兆円を超える大規模な円買い介入を忘れていない 。当時、介入は1ドル=145円台後半や151円台で実施され、一瞬にしてドル円を5円近くも急落させた 。この記憶が強烈なトラウマとなり、150円を超える水準では投機的な円売りを躊躇させる心理的な防波堤となっている。介入は長期的なトレンドを反転させる力はないかもしれないが、行き過ぎた円安のスピードを抑制し、相場に天井を意識させるには十分すぎるほどの威力があるのだ 。  

第二の壁は、米国の「政治とデータの壁」だ。特にトランプ政権の関税政策は、今後のインフレと景気の双方に大きな不確実性をもたらしている 。パウエル議長自身も、この不透明感を利下げに慎重な理由として挙げている 。さらに、地政学リスクの高まりは、伝統的に安全資産とされる円を買い戻す動き(リスクオフの円高)を誘発する可能性がある 。そして、毎月発表される米国雇用統計のような重要経済指標は、市場の予想と少しでも異なれば、相場を瞬時に1円以上も動かす力を持っている 。  

この2つの壁の存在が、ドル円相場に「非対称なリスク」を生み出している。金利差による上昇圧力は、いわば常に吹いている穏やかな追い風だ。しかし、介入や政治リスク、データサプライズといった壁は、突如として吹き荒れる暴風だ。このため、上値はじりじりとしか伸びないのに対し、下落は一瞬で起こる。このリスク構造が、相場の上値を重くしているのである。

過去の動きと未来のシミュレーションで理解を深める

ここまでの話を、より具体的にイメージできるよう、過去の事例と未来のシミュレーションを見ていこう。

ケーススタディ:2022年の為替介入は何をもたらしたか?

2022年、ドル円はFRBの急激な利上げを背景に115円台から150円超えへと駆け上がった 。これに対し、当局は行動を起こした。9月22日に145円台で約2.8兆円、10月21日には151円台で約5.6兆円という巨額の円買い介入を断行したのだ 。  

その瞬間、ドル円は凄まじい勢いで急落し、最大で5円もの下落を記録した 。これは、当局が投機筋を罰するだけの火力を持っていることを市場に見せつけた瞬間だった。もちろん、介入だけで円安の大きな流れを止めることはできなかった。トレンドの転換は、その後の米国のインフレ鈍化や日銀の政策修正といったファンダメンタルズの変化が主因だったからだ 。  

しかし、この事例が我々に教える教訓は極めて重要だ。それは、ファンダメンタルズがどれだけ円安を示唆していても、当局は「介入の壁」によって強制的に天井を設けることができる、という事実だ。一本調子の円安に賭けることがいかに危険であるかを、この歴史が物語っている。

シミュレーション:米国雇用統計発表時の「よくある値動き」とは?

次に、未来に起こりうるボラティリティをシミュレーションしてみよう。FRBが金融政策を決定する上で最も重視する経済指標の一つが、毎月発表される米国雇用統計だ 。  

もし、発表された雇用者数が市場予想を大幅に上回った場合(シナリオA)、米国経済の力強さが示され、FRBは利下げをさらに先送りするとの観測が強まる。米金利は上昇し、ドルが買われるだろう。その結果、ドル円は発表直後に1円以上も急騰する可能性がある 。  

逆に、雇用者数が予想を大きく下回った場合(シナリオB)、景気後退懸念からFRBの利下げ期待が再燃し、米金利は低下、ドルは売られる。ドル円は一気に急落する展開となるだろう。2023年1月発表の雇用統計では、平均時給の伸びが予想を下回ったことで、ドル円が2%近くも下落した事例がある 。  

このシミュレーションは、「データの壁」がいかに相場を揺さぶるかを明確に示している。根底にあるトレンドとは無関係に、たった一つの経済指標が市場をパニックに陥れる可能性があるのだ。これは、現在の市場環境がいかに不安定であるかの証左に他ならない。

ワニワニ流・今後のドル円との付き合い方

さて、ここまでの分析を踏まえ、我々はどう行動すべきか。ワニワニ流の戦略を授けよう。

基本戦略:押し目買いを狙いつつ、深追いは禁物

基本戦略は、金利差という強力な追い風に乗る「押し目買い」だ。何らかの悪材料で相場が急落した場面こそ、優位性の高いエントリーポイントとなる。

ただし、絶対にやってはならないのが「高値での深追い」だ。特に150円を超えるような水準は、いつ「介入の壁」が発動してもおかしくない危険地帯。このような高値で買う行為は、巨大なローラー車の前で小銭を拾うようなものだ。上昇を追いかけるのではなく、下落を待つ。これが鉄則である。

リスク管理:ワニワニが実践する「守りの投資術」

最後に、具体的なリスク管理術について語ろう。これはFXトレーダーと、より長期的な目線の投資家で分けて考える必要がある。

FX取引をする者へ: まず、スワップポイント狙いの安易なキャリートレードに注意しろ。確かに日米金利差によるスワップ収益は魅力的だ 。しかし、介入による3円の急落は、何年分ものスワップ利益をわずか数分で吹き飛ばす威力があることを忘れるな。  

そして、レバレッジは徹底的に低く抑えること。ボラティリティの高い今の相場で高いレバレッジをかけるのは自殺行為に等しい。長期ポジションであってもレバレッジは2~3倍程度に留めるのが賢明だ 。高レバレッジは、急な変動でロスカットされるリスクを飛躍的に高める 。ポジションが逆行した場合に備え、エントリー前に損切りラインを必ず決めておくこと。「塩漬け」は最悪の選択肢だ 。  

外貨預金などを考える者へ: 米ドル建ての外貨預金は、円預金よりも高い金利が提示されることがあるが、決して安全資産ではない 。もし預入時よりも円高になれば、円に戻した際に元本割れを起こす 。その損失は、わずかな利息など簡単に上回ってしまう。  

さらに、外貨預金は預金保険(ペイオフ)の対象外であることも肝に銘じておくべきだ 。  

長期的な資産形成を考えるのであれば、単一通貨にリスクを集中させるのではなく、低コストのインデックスファンドなどを活用した国際分散投資を検討すべきだ 。例えば、S&P500のような米国株価指数に連動するファンドに投資すれば、為替リスクを取りつつも、米国経済全体の成長の恩恵を分散された形で享受できる。これは短期的な為替投機よりも、はるかに堅牢な長期戦略となりうる 。  

市場を支配しているのは「金利差」という名の引力と、「介入」という名の斥力だ。この二つの力を理解せずして、この相場で生き残ることはできん。賢く立ち回り、決して欲をかきすぎるな。

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